とみやまよしのり
1953年生まれ。フリーランスフォトグラファーとして出版を中心に数々の仕事をこなしながら、自然や歴史をテーマに数多くの写真展を催している。1970年代から90年代にかけて人気を博したカウンターカルチュアを代表する「別冊宝島」の表紙や「田舎暮らしの本」などを手がけ、2016年には、2008年に生産が中止となった期限切れのポラロイドフィルムを使った写真集を出版するなど、この斬新な試みも注目される。
糸満市の名城集落にあるフェンサグスクは
ちょっと変わったグスクだ。
きれいに積み上げられた石垣は回廊のようである。
奥まで歩いていくと黒光りしている丸い石が御神体のように鎮座している。
まるで石造りの家に祭壇が祀られているような趣なのだ。
権力を誇示するためのグスクというより祈りの場のように思えた。
さらに石垣に彫られていた不思議な模様はどんな意味があるのかわからない。
他のグスクでは見たことがないのでイタズラなのか特別な模様なのか興味があったが、
案内してくれた知人に聞くと調べたけど解らなかったそうだ。
鎮座していた丸石はやはり御神体で、名城の海底に光る石を見つけた漁師が持ち帰ったという逸話があるそうだ。
海人の町、糸満らしい話だと思った。
南城市の百名ビーチにあるヤハラヅカサは
琉球創世記にまつわる神々が上陸したポイントとして石碑が建てられている。
隣接する新原ビーチから白い砂浜がずっと続いているため
ビーチコーミングに絶好の砂浜だが、どこか神秘的な風景も感じられる。
休日になればたくさん人が集まってくる。
中には牛を連れだして砂浜を歩かせている一団がいることも。
闘牛の盛んな沖縄だけに訓練の一環なのかもしれない。
百名ビーチの近くには琉球七御嶽の一つ「藪薩の御嶽」、
琉球創生神の住居跡といわれる「浜川御嶽」や沖縄最古のグスク「ミントングスク」など
聖域が集中しているエリアだが、いまでは観光客で賑わうスポットの一つになっていた。
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